蛭人(ひるびと)〜背に太陽を背負って

著:ネイチャー

吸う」という行為は、人間の最も原始的かつ美しい行為ではなかろうか。      これは「吸う」という事に魅了された男の戦いの物語である。            「お前に吸わせる崇高なものは、この村にはもうねぇ!出てけ!」村人達が一人の男に怒声を浴びさせている。それもそのはずこの男は村中のありとあらゆる崇高なものを吸いつくし村の機能を一時的にストップさせてしまったのだ。               結果、村人達の弾圧により村を追われた男は「崇高なもの吸いてーよ!×2」と叫びながら行くあてもなく道なき道を歩き続けたのだ。                   吸いすぎて下唇のないその姿はまるで栗拾いに来た成金のようだ。                                                          
何年歩き続けたのだろうか…男はすっかり衰弱しきっており地球を離陸した時のガガーリンを彷彿とさせてる。                              すると男は突如何かを発見し、走り出したした。行く当ても無なく暴走してたあの頃とは違い目的を持って。                               なんと駆けつけたその先には常温を保った暖かいあざがあった。どうやらとれて間もない、黄色人種のあざのようだ。                          男とあざは赤チンを塗る野口英世の如く共鳴しだした。               そして男は鳩サブレに群がる成金の様に夢中であざを吸い尽くした。  
「これほどの崇高なものはゴマをまぶした大蔵省の人を吸った時以来だぁ。」と言い満足そうに吸った分の息を吐いた。                          すると吐いた息がモク×3と巨大な煙になり、なんと人の姿に変わっていったのだ!
その姿をよくみるとかの有名な外人レスラー、スタンハンセンなのだ。        呆然とする男に対してハンセンは「崇高ナモノピンハネスル奴ユルサナイヨ」と片言の日本語で男に迫った。                               「ピンハネなんかしたことねぇ!」と言い放つがハンセンは聞く耳持たず「罰トシテ火の輪クグリシナサイ」と言い自分の持ってたロープに火をつけ無理矢理くぐらせた。   「うわあぁ!」                                 その瞬間地球の自転が止まり手動に切り替わった。                 男は長い間、気を失い目を覚ますと自分が動けない事に気がついた。         なんと男は、畑に首から下が埋まっていたのだ。まるでリヤカーを引く街金のようだ。 鳴り止まない雷雨、耳をつんざく獣たちの泣き声。まるで男の人生を物語ってるようだ。どのくらいの時間がたっのだろうか。急に豪雨はおさまり、天から不思議な声が聞こえてきた。                                     「崇高なものばかり吸う卑しいお前の罪は重い。下劣なものを吸って悔いを改めるがよい!」                                     「下劣なものを吸うと母の事を思い出す!ヤダ!」男はわめいた。          しかし「罰を受けるのだ!」と言う声とともに天からプラスチックで出来たアフリカ人が降りてきて「オレを吸え!」と男に無理矢理自分を吸わせた。            「あちぃ!」男は瞬間的に吸ったアフリカ人を吐き出した。             その瞬間吐き出した口から息とい一緒になんと線路が開通したのだ。         喜ぶ村人達。                                  男が埋められていた畑はなんと追い出された村の畑だったのだ。           「これでこの村にも鉄道が走るぞ!」一斉に喜ぶ村人達。              一躍、男は村一番の英雄に祭り上げられた。                    
しかし後に特急が止まらず村人達からのクレームに悩まされる男の姿があった。    最後に。インドの古いことわざにこんなものがある。                「バーモンドカレーはサイババに味見させろ」         
                     完

この作品への感想は、ネイチャー氏まで、メールでお願いします。


戻る