笑い話をひとつ。
僕の友達が山形に行った時の話。
大阪土産にと、みやげ物屋に入っていろいろ物色し、“きりたんぽ饅頭”に決めて店員さんを呼んだ。
出てきたのはシルバー人材センターもとうに退職したかのような老人。
「…あの、コレ下さい」
「…?」
よく聞き取れなかったみたいで、彼は繰り返した。
「…この、“きりたんぽ饅頭”なんですけど」
老人は心外だとばかりにもう一度、聞き返した。
「だがら、…?」
彼は何かの聞き間違いかと思った。この設定、つまり旅行客がみやげ物屋に来て、品物を求めた時の返答としては、あまりにそぐわない単語が返ってきたからだ。
「…いや、あの、僕、あんまり好きじゃないんですよね。彼らのこと…」
老人は何かの聞き間違いか、という風にポカンと口を開け、彼を見返した。
「あの、おいくつですか?」
横合いから、若い店員さんが聞き直した。
「…んじゃ。だけんEXILEて、聞いとるんじゃ!」
老人が吼えました。
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