ダメ人間の生き方

著:MA


 僕が死にたいと思い始めたのは、今から4年も前のことになる。
 
 当時学生だった僕は、アルバイトをしていた。
よくある話ではあるが、同じアルバイトをしていた女の子から一通の手紙をもらった。
 内容は「友達になってください」というもの。彼女は可愛くて、僕も少し前から気になっていたから、
とても嬉しかった。
 もちろん返事は「OK」。それから嬉しくて、毎日メールをした。映画にも行った。僕は彼女が大好きになった。勇気を振り絞って告白までした。
 返事は「NO」別に好きな人がいるから・・・。なんとなくわかってた。今までにだって好きになった人はいる。何度か自分の気持ちを伝えたこともあった。
 でも、答えはすべて「NO」。しかも理由は「好きな人がいるから」。もう聞き飽きた。
 そしてなぜか僕が告白した後、彼女等はみんな恋人ができるんだ。幸せになるらしい。僕はそういう、他人にとってはありがたい存在のようだ。
 もう人を好きになりたくない。そう思った。誰かを好きになるたびに、僕の心が壊れていく。何度も眠れない夜を過して、何度も泣いた。泣くことでしか自分の気持ちを抑えることができないから。
 
 その頃から、本気で死というものを考え始めた。よくある「自殺サイト」なんてものも見た。でもやっぱり怖かった。死ぬ勇気なんてなかった。

 もちろん失恋だけで死のうと思ったわけじゃない。思い返してみれば嫌なことばっかりだ。中学生のころには一時イジメにもあった。シカトされ、雑巾に落書きをされ、部活ではバスケットボールをワザとぶつけられたり、取れもしないところにパスを出されて「おい!!キャッチしろよ!!遅いんだよ!!」なんていわれる始末。
 教室では隣の席の子がシャーペンを落としたから、拾ってあげた。その行為にたいしてその子がくれたお礼の言葉は「キモイ」。

 何のために生きているのかわからなくなってきた。「60億分の1の僕は誰にも必要とされていない」。どうやらそういうことらしい。

 そんな僕も今では社会人2年生。一応仕事はがんばっている。
 でも僕のようなダメ人間はどこまでいっても「ダメ」なようで、ミスが多い。自分では気をつけているつもりでも、どうしてもミスをしてしまう。自分の能力の無さが悔しくて、多くの人に迷惑をかけたことがとても申し訳なくて、トイレに行って泣いた。
 何をやってもうまくいかない。「能力が無いなら身につければいい」。「若いうちはミスするものだ」。そんなことはわかっている。僕だって「全部上手くやれる」なんて思っていない。ただ、自分の理想と現実がかけ離れすぎている。それがどうしても悔しく情けなくて、自分が大嫌いになった。
 何をやっても上手くいかない。周りからも「あいつはダメだ」と言われているのではないかと、不安になる。仕事のストレスというのは半端ではない。本当に夢にまで出てくる。
 
 「ダメ人間」僕にはその言葉がぴったりなようだ。しかも僕は他人に自分の悩みを打ち明けるようなタイプじゃない。だって、「ダメ人間」の悩みなんて聞かされたら誰だって迷惑でしょう。

 そんな、僕の性格と今までの経験、仕事のストレス。そこからくる「孤独感」。生きる意味を失うには十分だった。一日に平均で20回くらいはため息ついてるかな・・・

 人ってそういう精神状態の時にはいろんなことを考えるもので、僕もいろいろなことを考えた。
 
 「幸せとは」、「恋愛とは」、「生きることとは」。夜ベットに入って考えることってこんなことばっかり。電車に乗ったら、楽しそうに話す家族やカップル。他人の幸せに嫉妬してしまう自分。僕だけが、置いていかれているような感覚・・・

 ずっと考え続けて僕はそのすべてに自分なりの答えを出した。

 僕は幸せじゃないんだろうか・・・いや違う。確かに嫌なことばかりの人生だけど、幸せの基準を下げれば凄く幸せじゃないか。なぜかって?だって生きているから。世界には生きたくても生きられない人がたくさんいる。人に差をつけてしまうことになるけれど、そう考えれば生きていること自体が幸せなんだ。
 もっと幸せの原点を探せば、この世に生まれてきたこと自体が幸せ。だって生まれてこなければ、嬉しいことも悲しいことも無いんだから。生きることって、生まれてきた命を動かすこと。だからつらいことも多いかもしれないけれど、生きなくてはいけない。命に失礼だから。

 恋愛ってなんだろう・・・僕なりの答えはこれ。
 恋は、その人を自分だけのものにしようとする欲望。
 恋愛は、恋と愛の中間点。
 愛は、その人が幸せになることを願う思い。

 幸せの感じ方は人それぞれだろうけれど・・・「その人が幸せになってくれればいい」。これが愛だと思う。そう考えると、僕は今までに恋した人はたくさんいるけれど、愛した人って何人くらいいるんだろう。

 一人すぐに思いつくのは、中学時代の担任の先生。今思えば、中学時代に自殺をしなかったのはこの先生がいてくれたからかもしれない。生徒のために一生懸命。その姿を見ていると、耐えなければいけないな。と思った。

 その先生は今度結婚する。最近では一番嬉しい出来事かな。この先生は幸せにならなきゃいけない人なんだよ。僕もずっとこの先生が幸せになることを願っていた。愛していました。結婚することだけが幸せなわけではないけれど、一つのカタチではあると思う。

 もう一人思いつくのは歌手のKKさん。歌手デビューする前から好きだった。これは最近知ったことなのだけれど、彼女も交際している人がいるらしい。
 彼女の歌を聞くと、ダメ人間の僕でも元気になれる。彼女にも幸せになってもらいたい。こう思っているのは僕だけじゃないと思う。言ってしまえばみんなから愛されている。

 恋っていうのは、相手の気持ちもあるだろうから成り立たないことが多い。自分の気持ち=相手の気持ちのときに初めて成り立つ。
 でも、愛は違う。愛は一方的でいい。よくある言葉だけれど、「愛は与えるもの」。

 
 
 僕はダメ人間だから、人から「恋される」なんてことはまず有り得ないだろう。「愛される」なんてことも無いかもしれない。
 それでも僕は生きていく。命に失礼をしないように。
 嫌なことばっかりの人生だけど、落ち込んだときには大好きな人の歌を聞いて元気になればいい。
 
 これから先、恋人なんてできないかもしれない。両親がいなくなったら、本当の一人ぼっちかも知れない。でもだからこそ、強く生きていく。

 ダメ人間に生まれたこの命を最後まで続けてやる。大丈夫。つらいことがあっても乗り越えられる。
なぜかって?僕は「ダメ人間」だから・・・
 
 そういうことには慣れてるのさ!!

                                         終わり


 
追伸:初めて書いたので下手ですいません。でも最後まで読んでいただいてありがとうございました。
   ちなみに実話です。自分の気持ちを率直に書きました。
 

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