チューリップの花言葉
『明日・・・朝10時に○×公園で来てくれないかな・・・?』
幼馴染からのお誘い。弱虫で泣き虫の弟のような幼馴染の。
翌朝、7時に起きて、歯も磨いて、朝食も食べた。お洒落も少し。
あとは待ち合わせ場所に行くだけ。
「ったく・・・なんの用事なんだろ・・・」
○×公園までは歩いて10〜20分。
なので、朝9時40分には家を出た。
「・・・・・・!未来ー、こっちだよ」
「分かってるー・・・眠いんだよ、こちとら」
「ご、ごめん・・・」
「謝らなくてもいいって・・・で、なに?」
相変わらずニコニコして、それでもって弱い明に一番聞きたかった事を言った。
「未来に見せたいところがあるんだ!」
ニコニコしてから・・・これだから明の頼みは断れない。
この笑顔に弱いんだよなぁ・・・
「どこ?見せたいところって」
「こっから電車で30分」
・・・・・・・暇という言葉が口癖の私にとって、30分はちときつい。
思わずため息をついてしまった。
「・・・・つまんない・・・・?」
「・・・んーん、別いいよ」
ため息をついた私に不安を感じたのか、問いかけてきた。
けど、弟分のような明に心配させる事も出来るわけがなく・・・軽い嘘をついた。
そして私と明は電車に乗った。電車の中で、無口の私に明は頑張って話し続けてくれた。
私の暇を消してくれてるんだろう。
そうこうしているうちに、明が言っていた駅に着いた。
「あ〜・・・疲れた」
「大丈夫?休んでく?」
「ん、心配無用。さっさと行こう?」
いつでも私を心配してくれる明。『かわいいな〜』なんて思ってみたり・・・
駅を出てから数分、川の近くに来て明の足が止まった。
「・・・・どうした?明・・・」
「ほら、見てみなよ・・・・未来・・・・」
明の視線をたどっていくと、ポツンと咲いたチューリップ。
「降りてみよ?近くで見たくない?」
「見てみたい・・・」
チューリップの美しさと川の傍で咲くという謙虚さに惹かれた・・・
川の傍まで降りて、チューリップを見に行った。
「・・・キレイ・・・だな・・・」
「これを・・・未来に見せたかった」
「・・・・・ありがとう・・・・・」
こんないいところ知ってるなんて・・・明は幸せだな・・・なんて思った。
「・・・チューリップの花言葉知ってる?」
「・・・・?いや・・・」
「チューリップの花言葉は、『愛の告白』なんだよ・・・」
「へぇ〜・・・・」
豆知識を教えてもらい、もう一度チューリップを見ようとした。
すると明が・・・・
「未来・・・・好き・・・なんだ・・・・」
「へぇ〜・・・・え?」
「昔から・・・ずっと好きだったんだ」
幼馴染からの突然の告白。
いきなりのことで頭がパニックになっている。
「・・・付き合ってください!」
「えっ・・・ちょっ・・・」
立ち上がって私と向き合った明は私に告白をした。
ずっとずっと幼馴染だった・・・そんな明に思わず赤面した。
ずっと友達と思っていた人は、いつしか1人の『男』となっていたんだ。
「・・・・・・はい・・・・」
「え?」
「私も・・・好きでした・・・・」
「本当に・・・・?」
「・・・・・うん」
「っ未来!愛してる!!」
両思いになって、チューリップにちょっとだけ感謝。
もしあなたが存在してなかったら・・・引っ込み思案の明に勇気を与える事ができなかっただろう・・・
なーんて、結婚後に思ってみたり・・・・
END
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