君の中の僕と僕の中の君
僕の中には僕に似ているもう一人がいる
もう一人は君と呼んでいる
ねぇ
僕に似ている君は僕の中にいるけど
君に似ている僕は君の中にいる?
毎日毎日
飽きるほど
そんな質問を羅列しながら
細い鎖の上を綱渡りするような
生活を送っていく
でも
僕の中の君からの返事は
毎日の日常の中で
日に日に
少なく薄くなっていく
僕は君の声が聞こえなくなるたび
不安で不安で
……
胸が
締め付けられる
ねぇ
まだ君は僕の中にいる?
聞いて
返事があると
君に抱きとめられているように温かく
返事がないと
君が置き去りにした氷を素肌にあてられたみたいに冷たい
でも
君の中に僕がいる限り
僕の中に君がいる限り
僕らは僕らを包み合いながら
氷のような
冷えた鎖の上を
靴も履かずに
僕一つの身と君と二つの魂で歩んでく
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